師匠はまだ私と反対方向を向いている。その白い小さな背中をじっと見つめた。 「お前には家族が何人居る?」 「え・・・?えと、2人。弟と、母と三人暮らしだよ」 「そうか。さっきのがお前の弟だな?」 「うん、そうだよ」 いきなり何だと言うんだ。こっちとしても家族のことは話しておきたかったから、好都合だけど。 「そいつらは、お前のことを理解 していてくれるのか」 「─え・・・?」 着替える手を止めた。