「私はざくろ。よろしく琥珀」
ざくろ…と聞いて真っ先に思い浮かんだのは赤い果実。秋に実り、近くに植わった柘榴の木から今年も多くを頂戴した。瑞々しいあの実はなかなか美味く、個人的に好きだ。
果物の名がそのまま人の名になるとは。いや、別にけちをつけているわけでもないが。
「おい、それより高いし危ない。落ちたら大ごとだ」
「え?そう?」
でも見晴らし良いから好きなのよね、と呑気に呟くざくろに呆れてしまう。
「まっ、いいか」
迷いなく、軽く反動をつけると少女は枝を蹴った。けっこうな高さであったが、心配はいらなかったようで。
「じゃあね」
