隠す必要もないので頷くと女はくすくす笑い出す。何がおかしいんだか。二つに結われた薄茶色の髪の毛がさらさら揺れていた。
「所謂妖怪っていう奴?それとも神サマ?」
「…妖だ」
「ふーん」
興味ありげに大きな瞳が自分をじっと見つめていてひどく居心地が悪かった。人間は本来、自分らと似て非なるものに恐怖を抱く生き物だった筈。
それなのにこの子は、本当にどうかしている。
「あっ、今変な女って思った?思ったでしょ」
「何なんだ本当に…」
「ねえあなた、名前は?」
まあ…いいか。
短く名をつぶやくと嬉しそうにまた笑った。綺麗、と。
