「あ…」
山道を下ったところに丁度歩いていたのは茜さん。
重たそうなビニール袋を抱え、山道を上がろうとしている。
「あらあら、貴女はこの間のお嬢さん」
「茜さんっ」
息も絶え絶えで彼女に縋った。
「お茶を淹れてください!お願いします!!」
頭を下げると驚いたような声が頭上にかかる。
「なぜそれを貴女が…?」
「お願いします、お願いします…!」
涙で視界がぼやける。ああもうなんでこう昂ぶると泣いちゃうんだろう、鬱陶しくて目元を擦った。
「あらあら擦ってはいけないわ。どうしたのこんなに泣いて…もちろんいいわよ、最後のお客さんならいつもよりおもてなししないとね」
「え?」
顔を上げると、優しい微笑みを浮かべた茜さんがハンカチを差し出してくれていた。
「今日で、お店はおしまいなの」
