連れて行ってください、こぼした言葉に彼は微笑んで首を振った。─横に。
「それは聞けないな。茜、君といるとここが苦しい。きっと人はこれを恋と呼ぶんだろう」
「私も…私も苦しくていけないんです。ずっとこうして傍に居たいです、ねえアカバさんお願い─叶わない恋なら連れて行って、二人で遠くへ行きましょう」
彼と一緒ならば地獄ですら構わない。人に戻れなくとも。全てを捨てることも厭わない。
もうどうしようもないくらい、アカバさんを愛してしまっていた。
「幸せになってくれ」
いやだ。一緒にいて、お願い。手を伸ばすのに届かない。
「見えない楔が私たちを縛っている。すまない、当分手放せそうにない。けれど私は君に近寄りすぎた。…身勝手な我儘を許してくれ、もう─会えない」
目が忘れないでと言っているくせに、自分だけ遠くへ行くなんて。なんてずるい人。なんて…優しい人。
「だから、そんなあなたが」
好きでたまらないのです。
