徐々に詰まっていく距離。ああ、と私はぎゅっと目を瞑った。
瞼の裏に浮かぶ情景は、ひらひら夜風に舞う紅葉。赤の色。愛しい彼の色。
あぁ─もうすぐ紅葉も散ってしまう。秋が終わる。
「名を呼んでくれてありがとう。私を見つけてくれて…ありがとう」
頬に落ちる温度は柔らかく、温かく。こんなにも人なのに。
「アカバさん、私、あなたが」
「言わないでくれ」
続きの言葉を飲み込む。アカバさんはひどく苦しそうな顔をしていた。
「きっと聞いたら…私は自分を止められなくなる」
「止めなくても構いません」
「…滅多なことを言うもんじゃない。本気で、連れ去ってしまいたくなる」
