そうか。ならば構わないか。茶屋には表に赤い毛氈(もうせん)を敷いた腰かけがいくつかあり、中を見やると座敷にも毛氈が敷かれていた。雨の日は座敷に上がって一服するのか。
「はい、どうぞ。熱いうちに」
「ありがとう」
「それにしても今日は、いい月ですね」
ふっと顔を上げる。青い空に溶けるような白い月。
「あぁ。綺麗だ」
ほんの少し、手を伸ばせば触れられる距離。人は自分が思っていたよりずっと小さく愛らしかった。
明るく幼い笑顔は、きっと昼の顔。
反対に今は憂いを帯びた、淡い消えてしまいそうな顔だ。
なんとひ弱な。
