悶々としていると、幹に足を引っ掛け咄嗟に掴んだ植木が大きな音を立てた。
「しまった…!」
「誰?誰か居るの?」
露骨に尖った声がして、身を強張らせる。
「わ、私は怪しい者じゃないっ。ここらに住む、ええと、人…だ」
「なんだ、良かったぁ…狼でも出てきたらどうしようかと」
彼女は照れ笑いしたが、自分が付いた嘘を疑いもしない笑顔に心が痛む。罪悪感というものだろう。
「あ、貴方もしかして、昼間の人ですか?」
やはり気づかれていた。この女は妖が見えるのか。私が頷くと、彼女はぱっと笑う。
「やっぱり!あの、よかったら少しお話しませんか?ひとりでお茶を飲むのって、つまらなくて」
「私は別に構わないが…もう夜も遅い。帰らなくていいのか?」
「大丈夫です。家、ここですから」
