「あの人と何かあったの?私でよければ聞くよ?」
彼にならってしゃがみ込み、そっと背中を撫でる。アカバは縋るように顔を上げた。私は、
「大丈夫。誰にも言わないよ」
と付け足した。
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遡ること、50年前─。
【アカバside】
また、秋がきた。紅葉を愛でることは好きだ。
草木を愛でる趣味があるのは人も同じようで、度々森へ人間が足を踏み入れた。中には「人が我らの神域に入るとは無礼な」と罵る妖もいたが─私は別に、いっさい興味がなかった。
むしろ人と話がしたいと、そう思っていた。
けれど、妖を見れる人間など─自分を見つけてくれる人など、都合よく現れはしない。
