「なにを一丁前に」
「いった…」
「よく聞け。私の役目はあくまで『お前を守る』こと。…いいか、お前の身の回りの人間は、お前が守るのだ。私は桜子の遺言を果たさなければならないからな」
「…!」
─そのためにも、強くならないといけないんだ。大切な人を守れるくらい。
お前を死なせるわけにはいかない、だからお前に語りかけていたんだ。と、白狐は鼻を鳴らす。
「万が一死なれたら桜子に示しがつかん」
「…そっか」
笑って、白い毛を梳いた。
「早く帰るぞ、腹が減った」
「うん」
妖はまだ、好きってワケじゃないけれど。中には、師匠のように優しい妖もいる。
少しずつ、分かり合えていけたらいいな─。
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「ただいま~」
