身を翻す暇もなく目の前に妖が現れた。はっとするほど、濃い紅の着物を纏っていた。まさかここで会うとは思ってなかったな… 「私が見えるか?」 こくこくと頷きながら、ばれない程度に少しずつ足を後ろへ。 「紅葉狩りか?」 「え、うん」 妖は、近くの紅葉の木に触れた。 落ちた木漏れ日が妖の不思議な髪色の髪に落ちる。黒髪の毛先には綺麗な橙色のグラデーション。なんだかおしゃれだ。