「掴まえた」 ひやりとした青白い腕が障子から突き出て、私の首に触れていた。 「ひっ─うぐっ…!」 「掴まえた、掴まえたよ桜子」 強い力で畳に押し倒される。能面が眼前に近づいて来ていた。この前の妖怪とは違う怖さに恐怖で竦む。 「私は桜子じゃない!」 涙が滲みそうになるのをこらえ、 妖怪を睨む。 「嘘を仰い」 「嘘じゃないっ─」