「あった、これならいいかな?」
肌着とか小物はあるし、見たところ目立つ汚れも虫食いも見当たらない。仕舞いっぱなしだったからちょっとかびくさいけど…見逃してもらいたい。
「仕方ない。私が少し細工してやろう」
姿勢を低くした師匠に、「そのまま着物を抑えていろ」と言われ、よくわからないが頷いた。
「わっ」
眩しさに目がくらんで着物を取り落しそうになるが、こらえた。うっすら目を開けると、師匠は得意顔で「少しはましになったか?」と訊ねる。
なんのことだ、と思っていると手にある着物からほのかな桜の匂いが漂う。さっきのいやな臭いが嘘のよう。
「て、手品…?」
「私にかかればこんなもの朝飯前だ。ついでに妖の匂いもつけておいたから、妖どもにお前は人だと気づかれん」
さすが師匠。
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森へ着くと、既に妖たちで溢れかえっていた。祭壇には、花やら木の実やら様々なお供え物。お酒もう入っているのか、妖たちは上機嫌だ。
