「じゃ、確かに伝えたよ」
「うん。ありがとう、お疲れ様」
窓から飛び立った灯雅は鴉さながらの動き。やっぱり、どれだけ人っぽくても彼女も妖なんだ…と痛感する。
「師匠。お祭りには何着ていけばいいの?」
「うむ…神相手だからな、一張羅の着物で挑め」
「えっ、勝負服?そんなのないよ。巫女服しかない」
「ええい世話の焼ける。どこかしらにあるだろう、私も手伝うから探せ」
夕方までに見つけなきゃだ…おじいちゃんの部屋にありそうだ、行ってみよう。確かお母さんが昔着てた着物が押入れにあるって前に聞いたような…。
手前のものを引っ張り出したり、奥に押し込んだり格闘しているとそれらしき包みを見つけた。
紐を解くと淡い桃色の着物が見つかった。
