ここまで対等に師匠に渡り合う妖は初めて見た。不安がよぎる。話し合いなど不可能なんじゃないか。
「順番など些事。馳走は奪った者勝ちです」
「貴様…」
師匠が体制を低くして、今にも飛び掛からんとしているのを見てやっとの思いで口を開く。声が震えた。
「朱獅子。貴方、私を喰べたいんでしょう?だったらゴンは放してあげてくれない?」
「ほう?」
「ゴンはもう関係ないよね?」
ゴンは必死に首を横に振り、やめろ、と目で訴えていた。可哀想に、言葉を封じられているんだ。
朱獅子は了承し笑い、ゴンを縛る術を解いた。
「杏子、やめろ。下がれ」
師匠の冷たい声に首を横に振り朱獅子に近づいた。
「杏子!」
「恐れを知らぬ娘だ」
「・・・ねえ」
