はらり、ひとひら。



「よく聞け子狸。杏子は修羅の血を引いている」


「え…!?」


嘘だろ?あの、修羅の血を?


「お前がここに居るのを朱獅子が知れば、ここへやって来るのは必然だ。そうなれば杏子や杏子の家族が巻き込まれることになる。お前のせいで無関係の杏子が、だ」


「っ」


「私はお前が気に入らないが、杏子の意向には従わざるを得ん。だが杏子に護ってもらえるなど虫のいいことは考えるなよ。
杏子の霊力は確かに強いが、ここに居てはあれは己を解き放てない」


狐の言葉は、毒矢のように刺さりおいらの心にじわりと熱を残した。


「少しでもあいつの心が揺らげば、霊力は段違いに弱くなる。この家が、杏子にとってどれだけ大切なものか見ていればわかるだろう?」



大切なひとを巻き込みたくない。傷つけたくない。優しい心の持ち主ゆえの思い。



おいらだって、そうだった。