はらり、ひとひら。



「ひと月、私と鬼ごっこを。無事逃げ切れたら貴方の勝ち。私に捕まったらその時は、素敵な褒美を差し上げましょう」


おいら、聞いたことがある。


変に優しいものに限って、本当は真っ黒な心の持ち主なんだって。



「せいぜい褒美を受けないように頑張りなさい。それでは」


不敵に笑い風を巻いて消え去った奴の名は、朱獅子(あかじし)。


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「お前、朱獅子に絡まれたのか。運がなさすぎるな」


「え。師匠知り合い?」


「阿呆、あいつは悪い意味で有名だ」


大御所?


「奴の妖力の強さは神に等しい。いや…神の成りそこないと言った方が近いか。粘着質で一度目に留めた獲物は絶対に逃がさん」



神の成り損ない。ごくりと息を呑んだ。それって、相当強いってことだ。