はらり、ひとひら。



人のいないがらんとした美術館は殺風景で、寂しくて悲しくて。


「気づいたらこうなっていた」


「みっちゃん…」


ひとり、またひとり仲間が引き取られ、去っていく姿がどうもつらく。けれどここを離れるのも心苦しく…


「誰も来なくても、それでもよかったの。故郷も自分の名も思い出せない、だったらずっとここに留まっていようって…おかしな話でしょ」


「そんなことない!」


ここはみっちゃんにとって、紛れもない大切な家だ。



「ばかな子」


ふわりと笑った彼女は私が美術の教科書で見たどんな作品より、美しかった。



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あれから数日。


無事、美術館肝試し騒動は終息した。