はらり、ひとひら。



ごくりと唾を呑んだ。不審死?


「老衰よ。医者もそう言ってたもの。でも─愚かな人間どもはまんまとそれを信じて、やれ呪いの絵だの、やれ不幸を呼び込む絵だの…馬鹿よね。ただの絵にそんな力あるはずないのに」


みっちゃんは自嘲気味に笑った。ここへ入る前、朝比奈くんも似たようなことを言っていた。


「噂はどんどん広まって、折角ついていた買い手も怖がって辞退しちゃって。それであちこちたらい回しにされて、はるばる日本へ来たの。"呪いの絵"の噂も薄れるくらい時間が流れたくらいにね」


でも─根強い噂は絶えなかった。迷信めいたものやお化け、そういう類のものをいつも人は無意識的に恐れる。


大事なのはうそかまことかではない、人の好奇心なんてそんなもの─。



「多くの人間に見て貰えて嬉しかったわ。私も人を見ていて楽しかった。飽きない生活に満足していた。…だけど寂しいものね」



あっという間に終わってしまった。みっちゃんは悲しそうに言った。