「来るぞ」 準備もする間もなく、ひたひたと足音。あれは、一番最初にここへ入った川津さんだ。さっき襲ってきたのは宮野さんだったから、いろいろな器で試しているんだ。 「ほかの人は…?」 「気でも失ってるんだろう。…近づいてくる。集中しろ」 人の体に不慣れなのか、操られた川津さんはよろめいて今にも転びそうだ。あまり素早そうではない。 これなら─ みっちゃんの作った簡易の髪の毛の罠に足を取られた隙に、思い切り明かりを向けた。 「照射!!」