はらり、ひとひら。



いつもと変わらず冷静な神崎くんが完璧な説明をしてくれ、神様に見えた。御立腹の師匠もやがて落ち着いたのか話し出す。


「憑け入られる方も悪いがな。とっとと終わらせに行くぞ杏子」


「え、でも今日手ぶらだし」


「祓い屋の小僧、その長物がお飾りでないのならやってみせろ。杏子は適当に補佐に回れ、言霊くらいは使えるだろう」


そっか。いつもみたいに準備万端で妖に出くわすケースじゃなくて、こういう場合もある。その時頼れるのは自分自身の力だ。言葉。


その時の為にも、力を磨いておかないと。



「あいつは光に弱いのよ。強い光を当てれば本体が出てくるはず」


「…だそうだ。やれるな?杏子」


「!うん」


でも、懐中電灯の光じゃ足りない。その時の言霊だ。



言葉に宿る神力、自分を信じる強い心。