前を行く妖に呼びかけた。ぴたりと動きを止められ、思わず衝突しかける。
「─…呼ばれない名なんて、もともとないも同じよ」
「え?」
「…忘れたって言ってるの」
そうか。忘れちゃったなら仕方ないや。
「じゃあ、鼠鼠言ってるから…夢の国のあの人は?」
「なあにそれ…」
「あ。やっぱりみっちゃんで行こう、その方がなんかいろいろ都合いい気がするし」
うん、良い響き。
「遅くなって悪いね、ようやく入れた」
「灯雅」
西の方から奴の気配があるとみっちゃんが言うので、向かっている途中、大きく闇から溶け出るように灯雅さんの姿が現れた。
