「違うわ、私じゃない。この髪は鼠を捕まえるための罠なのよ」
「鼠…?」
やはり妖も動物を気にするんだろうか。
「馬鹿じゃないの。そんな可愛らしいものじゃないわ。妖よ。毎夜ここへやって来ては私をおちょくる生意気な奴」
もしかしてこの館には妖が、もう一匹いる…?
「家を荒らされるのは好きじゃないから、今日こそやっつけてやろうと思って髪の罠をしかけたんだけど…かかったのはとんだ大鼠。人の子がいるなんて、想定外」
この妖は、不器用ながらにもここを守ろうとしているのだろう。ふざけ半分で踏み入ってしまったことを申し訳なく思う。
「もしかして犯人はそいつかもね。アイツ自体はそんなに強くない。だから人に憑依して私を探していたのかも」
なんて迷惑な話。こっちは危うく首と胴体がおさらばするところだったのに!
