はらり、ひとひら。



妖はふん、と鼻を鳴らした。駄目か。でも話は聞いてくれそうだ。別の角度からいってみよう。


「あなたは何故ここに?名はありますか?」


「人に教える名はないわね。決まってるじゃない、私はここで一番綺麗な絵画よ。見てわかるでしょう」


呆れた、と言わんばかりの顔。おお、けっこうオーバーリアクション。こんな状況で言うのもおかしいけどなんだかとっつきやすい妖だ。…もっとこう、黒々として陰湿・険悪な妖を想像してた。



「絵画…の妖?」


「そうとも言うのかしら。わからないわ、気が付いたらここで一人ぼっちだった」



ひとりぼっち。ずきんと重く言葉が刺さる。



「呪いの絵って、あなたのこと?」


「くだらない噂。…確かに私がそう呼ばれた時もあったかな。バカげた迷信よ」



忌々しそうに舌うちした彼女はどすんと床に座り込む。「ああムカつく」とぶつくさ言い、ふてぶてしい面構えで私を睨む。