はらり、ひとひら。



閑散としていた。でも、奥底に禍々しい気配を感じるのは否めない。


「気を付けて」


気遣いの言葉に頷いて、朝比奈くんから借りた懐中電灯をつける。ぱっと暗闇に光が差して、視界が開けた。


当初は白かったと思われる壁紙は薄汚れ、額縁の跡がまるで爪痕のように残っていた。


なんだろう、この感じ。入る前からわかってたけどすごく嫌な感じだ。



ぐるぐると頭が回るような、少し気を抜いたら闇に手を引っ張られそうだった。…怖い、足がすくむ。



「う…神崎くん。怖いんで手引いてもらってもいいですか…」


「ん?いいよ」


「恐縮です…」


実にさらっとした返答だ。思ってたよりずっとごつごつした男の子の手。意識しそうになって気恥ずかしくなりしどろもどろしていると、神崎くんが申し訳なさげに笑った。



「ごめん、まめだらけで痛いでしょ」


「う、ううん大丈夫っす!むしろありがたいし心強いよ…剣ダコっていうんだっけ」