「それもそうだね」
すっと神崎くんは小さな白い紙を取り出すと、指でなぞるように文字を書いた。あ、これ神崎くんの家にお見舞い行った帰り、私の髪についてたやつと似てる。
何してるんだろう、とは聞けずじっと見守る。やがて軌跡を辿るように人型の紙には文字が刻まれる。ぶるっ…と震え手から離れひとりでに浮かんだそれに、彼が息を吹きかけると突如加速し空へと消えて行った。
「な、なにあれ!?」
「式神の一種だよ。簡略化してあるから耐久性はないけど…灯雅への知らせ。丸腰じゃ勝てないからね。それまでどうにかして耐え忍ばないと」
澄んだ彼の瞳は廃墟に向けられ、いつもは感じることはない鋭さを持っていた。─目が本気だ。
「私にも戦わせて…!」
妖気にやられたのかふらふらだったが、ぺちぺちと気合を入れ直すために頬を叩いて立ち上がる。生憎私も丸腰で、頼みの綱の師匠もいない。でも、言霊で少しは役に立てるかもしれない。
「うん。椎名さんがいてくれると心強いよ」
笑った彼に少し胸が軽くなった。二組目は、10分ほどして朝比奈くんの携帯にコールが鳴ったがすぐに切れてしまった。
