「変な女だったが、すごく優しい奴でな。俺は力が弱くて夏にしかこうして姿を現せなかったが…随分前から夏になってもあいつの姿を見ない。何か大事あったのではと心配だ」 「確かに…」 「そいつはヨウコと名乗った。─頼む。ヨウコを探してくれ」 頭を下げた彼に、私は頷く。そういうことなら… 「任せて!」 ------------- ヨウコさんと最後に会ったのはもう10年も前なのだという。彼は、彼女の来ない夏を迎えて何度日々を数えたのかな。 茫然とし、なんて切ないんだと思う。