はらり、ひとひら。



可能性は十分にあるということだ。


桜子さんがどういう思惑で、先見書を書いたのかはわからない。
きっといくら考えたところで俺には理解できないのだと思う。

ただ貰った「叡智の欠片」を飲み込めば、話は違ってくる。

桜子さんの気持ちや先見書をつくった理由、白狐のことももちろん、些細な感情の機微すら手に取るようわかるはずだ。


だけどそれを本当に知るべき人は俺じゃない。


小さな包みのなかできらりと光る乳白色の欠片を飲み下すのに適しているのは、間違いなく椎名さんだ。





腰を上げて彼女の部屋に向かった。
部屋の真ん中で膝を抱えていた彼女は、俺を見るなり「おはよう」と明るく笑った。

髪を手櫛で整え、ほんの少し居心地悪そうにしている姿が新鮮で、可愛らしかった。



「昨日の続きの話を進めよう。でも、その前に……お風呂、どうする?」


問えば「あぁ!」と思い出したように立ち上がる。


「そうだった忘れてた……!」

「離れに母が使ってる浴室があるけど」