いつもと同じ。


朝、灰音の隣で目覚める。


しかし、その日わたしが目覚めたとき、わたしの隣に灰音はいなかった。






ベッドから起き上がり、灰音を探す。


廊下を歩いていると、客間から灰音の声がした。


誰か来たのだろうか。


わたしは客間の扉に耳を寄せた。





「そんな方法あるわけないだろ。」


「……」


「お前は助かったわけだし、洋子も無事なんだからこれ以上何を望むんだよ。」


「そうだけど…」


「洋子と学校に通えて、普通の人間として過ごせる。お前だって望んでたことじゃねーか。」


この声は…


客はおそらくシイだ。


こんな朝早くに彼はなにをしに来たんだろうか。





「エレジー。入ってきていいぞ。」


ふいに名前を呼ばれ、わたしはゆっくりドアを開けた。


「おはよう、エレジー。」


「おはよう…」