少女は舌打ちをし、項垂れた。
どうやら敗けを認めたようだった。
そして、少女の体が光り、少女は真っ赤な柄の刀の姿になり、地面に落ちた。
私とシイの近くに刺さっていた刀も光り、そして消えた。
「終わったのか?」
シイが尋ねると少年は頷いた。
「はいっス。」
刀を竹刀と一緒に布にくるむ少年。
「そうか。ありがとう。」
「いえいえっス。姫もこうして帰ってきたんスから。」
少年は刀の包まれた布をじっと見つめていた。
「シイ、この人は?」
「敷島 涼。洋子と同じ、力が強い人間だ。さっきの女は赤月姫っていうバケバケ。」
「赤月姫…?」
「よろしくっス、洋子さん。」
敷島がペコリと頭を下げた。
「うん。…」
聞きたいことは山ほどあった。
シイに聞こうと口を開きかけたときだった。
シイは唇の前で人差し指を立てた。
「あんま喋ったり動いたりするなよ、まだ完全に止血できてないから。」
シイは私の背中に片腕を回し、膝裏にもう片腕を回した。
そして軽々と私を持ち上げた。
「え、え?」
突然のことに戸惑う私。
「だから喋んなって。あとで教えてやるから。今は病院行くぞ。」
「大丈夫だから、私歩けるから。」
「うそつけよ、貧血でふらふらしてるくせに。」
「……」



