兄も灰音も隠している、私が思い出せない誰か。 一体誰なんだろう。 そんなことを考えながら歩いていると、いつのまにか家のすぐそばまで来ていた。 家の前に誰か立っている。 「どちら様ですか?」 私が声をかけると、その人は驚いたように振り返った。 「あ……」 私はこの人を知っている。