俺の背中に何かが当たった。 きっとこれは時雨の傘だ。 また守れないのか。 洋子はこんなに近くにいるのに。 たくさんのものを犠牲にしてきたのに、それでも洋子を守れないのか。 悔しい。 その時だった、木の中の洋子が薄く目を開けた。 「シイ…?」 「洋子…」 木に触れる。 洋子は笑っていた。 大丈夫だよ、と。 そう言われている気がした。 だめだ、まだ俺は…