そうか…





俺が斬ったのは、記憶だったのか。









「そういえば、シイ。さっきの女の人誰なんだ?」


俺は、灰音の中のエレジーの記憶を斬ってしまったんだ。


「シイ、大丈夫か?」


灰音が俺の顔を覗き込む。


「大丈夫だ、行こう。」


俺は応接間のドアを開けて外に出た。


振り返ると、灰音は応接間のソファーの方をじっと見つめていた。


「ごめん、シイ。先行っててくれ。なんでだかわからないけど、もう少しだけここにいたいんだ。」


「わかった。」


灰音を残し、応接間を出る。








俺は、灰音を救えたのだろうか。







わからない。


でも、俺は前に進まなきゃ。