エレジーの手を握った。


この暖かさは、間違いなく本物だ。







ただ、こいつと死ぬまで一緒にいられれば、それで良かったのに。


罰が当たったんだ。


俺が10年前、両親の死をなかったことにしようとしたから。


両親のいる、あの世界を望んだから。


エレジーすらも失ってしまったんだ。








分かってる。


両親はもういない。


エレジーはもういない。








だけど…


今だけ、あと少しだけ。








俺たちが出会ったこの部屋から、俺は抜け出せずにいる。


この手を離すことも、寄り添う彼女を振り払うことも出来ずに。