フードコートを出た後、早月くんの強い希望でふれあい広場に向かうことになった。


ふれあい広場とは、やぎやモルモット、ウサギなどの動物を触ったり、エサをあげたりできる場所だ。






「坂本さん、見て!」


真っ白なウサギを抱きかかえて私の方へ見せる早月くん。


「わぁ、かわいい!」


触ると温かかった。


「あっちで犬と猫も触れるよ!」


早月くんが私の手を引く。


早月くん茶色い縞模様の猫を抱いて、膝の上に乗せてベンチに座った。


「この猫…あの時の猫に似てる。」


猫を見つめ、早月くんはそう言う。


「あの時?」


「学校の近くにいた子猫…たぶん、飼えなくなって誰かが捨てたんだ。ほら、坂本さんもエサあげてたでしょ?」


「あぁ!」


私は1年の頃見つけた猫を思い出した。


まだ生まれて間も無く、小さくて必死に鳴く猫。


私の家では飼えないけど、放っておけなくてエサだけあげに行っていた。


「俺もさ、エサあげにいってたの。そしたら坂本さんがエサあげてるの見つけて…それで坂本さんを知ったんだ。」


「そうだったんだ。」