4.最愛
「通信が途絶えた…」
灰音と燕が店の奥に行った途端、カメラの映像も音声も途絶えてしまった。
真っ暗な画面を見つめる俺たち。
「何かあったんだわ…」
エレジーが立ち上がる。
「おい、どこ行くんだよ!」
「どこって…ハイネのところよ。」
「灰音たちの居場所、わかるのか?」
「大丈夫。ハイネにはGPSがついてるから。」
カバンからスマートフォンを取り出し、アプリを起動するエレジー。
灰音サーチャーという画面が出た後、地図のような画面になり、画面の中央で赤い点が光っていた。
「…行かなくちゃ。私が…」
エレジーは止める間も無く飛び出して行った。
「エレジー!…洋子と千秋はここで待っててくれ。もしかしたら灰音と燕から連絡が来るかもしれない。」
「わかった。」
「俺はエレジーを追う。」
「気をつけてね。」
エレジーの後を追いかけ、俺は走った。
エレジーの後ろ姿を見つけ、腕を掴む。
「エレジー!」
「シイ?…早く、ハイネの所に行かないと…」
「落ち着け、エレジー。」
「でも…」
「俺も一緒に行く。」
「…シイはただの人間でしょ?あなたに何が出来るの?」
「1人より2人の方がいいだろ。無闇に1人で突っ込んだら自滅するぞ。」
「……わかったわ。」
俺たちはエレジーの持つアプリの指示に従い、灰音たちのいる場所を目指した。
アプリの示す場所はここからそう遠くない倉庫のようだった。