「……え?」
壁の向こう側にいたのは金髪に青い目をした少女…
「エレジー…」
エレジーが微笑む。
「馬鹿だね、灰音くんは。」
エレジーの蹴りが俺の鳩尾に入る。
「…っ!!!」
俺の体は宙に浮かび、背後の資材にぶつかり崩れ落ちた。
骨が折れる音がした。
「灰音…!大丈夫か…?」
燕が俺に駆け寄る。
「どうしてエレジーが…」
「しっかりしろ、灰音!あれはエレジーじゃない…カナリアの能力で化けたアオギリだ!」
燕の背後にエレジーの姿のまま近寄るアオギリが見える。
「燕…後ろ…」
「…?」
燕は振り返りアオギリの蹴りを素早く受け止める。
「僕の能力が遠距離攻撃だけじゃないことを教えてあげる。」
アオギリが指を鳴らす。
目の前が真っ白になる。
爆音と共に飛ばされた燕は気がつけば俺の隣に倒れていた。
「燕!」
「ほんと馬鹿だね、灰音くん。大人しく僕らの仲間になれば良かったのに。」
アオギリが俺に近づき鳩尾に何度も蹴りを入れた。
「うっ…」
「もうお終いだよ。もうすぐ理想の世界ができるんだ。君に見せてあげられなくて残念だよ。」
約束したのに。
エレジーとずっと一緒に…
アオギリはエレジーの姿のまま笑顔で手を振る。
「ばいばい、灰音くん。」