和音はのろのろと椅子から立ち上がると、面倒くさそうに椅子を直してから図書室を後にした。 図書室から出て、二階の踊り場近くにあるナースセンターに狩谷への伝言を残そうと向かっていると 楽しそうな子供たちの笑い声と、ピアノの音が談話室から聞こえて来た。 中からは、空也と芳情院の声もした。 ……と、いう事は、ピアノをひいているのは、友梨…… 「……」 和音は一瞬立ち止まったものの ふっと息を吐いて苦笑すると、回れ右をして階段を降りて行った。