「でもマノンさんに加担して、何の得があるんでしょうね?」

「ああ、それは簡単なことだぞ。アオイ」

「えっ?」

マカはソファーに寄りかかり、腕を組んだ。

「私ではなく、マノンを次期当主にしたいのさ」

「マノンを? …ありえない。確かに力は強いでしょうけど、あのあり方は認められないわよ」

ヒミカは思いっきり険しい声で言い放った。

「確かにな。しかし元々ウチの同属達は、力社会だ。私が今でこそ仕方なく認められているのも、同属の中では指折りの力の持ち主だからだろう?」

「それはっ…!」

「マノンは私の対だ。力としても血縁者としても、次期当主としては申し分ないのは、アイツも同じだからな」

「…むぅ」

ふくれるヒミカの姿を見て、マカは苦笑した。

「まっ、裏切り者の魂胆は目に見えている。自分では当主になることは難しい。しかも私が次期当主では、自分は甘い汁を吸えない立場。だからこそ、マノンを利用しようとしているんだろう」