「ん…眩し…」

障子から射し込む細い光が寝起きのあたしに攻撃をする。
あたしは布団で隠すが隙間から入り込む微妙な風に身を震わせ、仕方ないと起き上がった。

そして名一杯、障子を開ける。

「あさ…か」

あたしは大きなあくびをし、布団をたたみ、パジャマを脱いだ。

翔太くんの熱が治った日から1週間が経とうとしていた。
看病も大変だったけれど、それ以上に大変だったのは翔太くんの方。

あと、あたしは大きな決意をして、達大さんに告白をしたのだ。




あたしには好きな人がいるということ。

翔太くんを愛せないということ。



「…ごめんなさい」

あの日からあたしはその事を思い出しては謝罪の言葉を呟いていた。
なんとなくスッキリした心にまた何かが堆積していくような気分になるのだ。

あたしは準備を終え、居間に向かう。


「おはようございま――」

「美月ちゃ~ん!!」

「うわっ!!」

障子を開けた途端、夏希さんがあたしに泣きついてきた。
目の前には腕を組んだ翔太くんの姿。

「翔太がぁ~~」

「そんぐらい、自分で行けよ…」

翔太くんは冷たく、だけど呆れ半分で言う。

「あの、どうしたんですか?」

あたしは泣きつく夏希さんに問い掛けた。
夏希さんは顔を上げ今にも泣きそうな声で言った。

「おつかい…頼んでいいかしら?」

「おつかい?」

「母さんっ!!」


翔太くんは激怒していた。
どうしておつかいごときに激怒するのかはわからないが。

「いいですよ」

あたしはすんなり答えて、夏希さんに笑い掛けた。

「あらっ!本当?ありがとう」

「はいこれ、お金」と夏希さんはあたしにお金と買うものを書いたメモを渡した。
あたしはそれを持ち玄関に向かった。
あたしが靴を履いていたら翔太くんが来た。


「美月は…お人好しなんだよ」

「そうかな?じゃあ、おつかいを頼まれて怒る翔太くんはお子ちゃまかな?」

「なっ…!!!」


焦る翔太くんに笑顔を見せるとあたしは立ち上がった。


「いってきます」


あたしは微笑みながら言うと扉に手を添えた。

すると――――





「待って」






あたしの身体は翔太くんに包まれた。