「これで20日…」


あたしは出れない布団の中で指を折って数えた。
これで遥と20日も会っていない。
達大さんに行ってこいと言われたものの、まだ一度も会いに行っていない。
会いに行けないのだ。

こっそり出て行こうとすれば玄関で。

『何してる』

とか。

『許さねぇぞ、オラ』

と、翔太くんに捕まってしまうのだ。
すっかりあたしは自由を失いかけている。


「あと4日なのに…」


そう、あと4日でクリスマスイブ。
恋人達、子供達には持ってこいな行事の一つ。
恋人はお互いにプレゼント交換なんかをして、愛を深める。
子供はサンタクロースからプレゼントを貰い次の日に早起きして中身を見るのが定番だ。


あたしも遥に渡したかった。
だけどまだプレゼントも何も買ってはいなかった。


「どうしよう…」

「美月ーー」


ちょうどそこにお母さんが来た。
お母さんは障子を思いっきり開ける。
その間から入り込む眩しい光と凍ってしまうような程の冷気があたしを襲った。
お母さんは眉を寄せあたしの掛け布団を剥ぎ取った。


「むわぉん…!!」

「なーに訳のわからないこと言ってんの。早く起きなさい、そして準備しなさい」

「なんで?」


急にお母さんの表情がきらびやかになりあたしに期待を呼んだ。


「今からクリスマスプレゼント買いに行くわよ」

「ええぇ!?」

「何ー。嫌なの?」

「いや、行く行く行く!行かせて下さい!!」


お母さんは呆れながら笑い「準備できたら声かけてね」と、あたしの部屋を出ていった。

あたしの中で表現しきれない嬉しいが込み上げた。
小さくガッツポーズをし早速準備に取り掛かった。

赤いチェックのワンピースを着て、黒いタイツを履き、白いケープを羽織る。

障子を開け、あたしは居間に向かった。