サブローにゲームセンターで取ったスナック菓子をあげてから家の中に入った。


あれ?知らない靴がある‥。

どこかで見た覚えがあるような気もするけど…。


玄関に男物の白いスニーカーが綺麗に揃えてあった。



「ただいま」

冷蔵庫の麦茶を飲もうとすると、お母さんがニコニコ顔で寄ってきた。

「葵、あと二人分お茶入れてお姉ちゃんの部屋に持って行って」


二人分?


「お姉ちゃんの彼氏が来てるの」



いきなり心臓の音が大きくなった。


お姉ちゃんの彼氏…。

もしかしたら遼ちゃんかもしれない。


ふられたけど、できたらお姉ちゃんの彼氏でないことを祈ってしまう。



深呼吸をしてお姉ちゃんの部屋をノックした。


コンコン…



「はい」


お姉ちゃんがいつもと変わらない声で返事をした。

なのに、心臓が痛いくらい鼓動を打って反応する。


いつもより重たく感じるドアを、ゆっくりと開けた。