夕方、おばあちゃんに浴衣を着せてもらった。

蝶の模様がはいった青い浴衣。

一年ぶりに袖をとおすと、自然と背筋がピンとなる。


鏡には、ニヤけてる私がいた。


あっ、まただ!

私って本当に顔に出やすいんだな‥。





薄くお化粧をして麻衣子の家に向かった。


慣れない下駄で歩きにくいし、足の指が痛くなって思ってたより遅くなっちゃった。

麻衣子の家が見えてくると、黄色い浴衣が目に映った。



「葵ー!」


麻衣子が大きく手を振って待ってた。



「あー、やっと着いた~」


「大丈夫?なんか演奏前に疲れちゃってるね」


「平気!演奏の力は蓄えてあるから!!」



浴衣をまくりあげて力こぶを見せると、ドキッとする声が突然聞こえていた。


「たっくまし~!」



え!?なんで遼ちゃんがいるの!?



慌てて腕を隠し、麻衣子の顔を見た。


「一緒に行こうと思ってお兄ちゃんたちに待っててもらったの」


こそっと麻衣子がいたずらっぽく眉をあげた。



やったぁ!ありがとう麻衣子!