「毎年祭りのイベントに西山高校と交互に参加してるんだ。去年がうちだったから今年は西山高校」


そんなイベントがあったなんて知らなかった。



「去年はみんなで浴衣着たんだよ」

「いいですねー」


すごく楽しかったんだろうな。

嬉しそうに話す太田先輩の表情から伝わってくる。

私も参加したかったな‥。



「今年はみっちりコンクール練習ですか~」

「そうだな‥」

下を向いて、ため息交じりの遼ちゃんと東先輩。


「何を言ってるんですか!小川先輩にとって最後の夏ですよ!頑張りましょうよ!!」


いつも穏やかな太田先輩に喝を入れられ、二人は驚いて顔を上げた。



「そうだよな。がんばろう!…がんばるぞぉ!!」



「「おーーー!!」」





トランペット4人の声が音楽室に響き渡り、他のパートが手を止めた。


急に静かになった音楽室で、私たちは顔を真っ赤にした。



遼ちゃんは何もなかったように練習をすぐに再開したけど、

音を鳴らしながら笑いをこらえ噴き出しそうになってる。



私たちも、つられて何度も笑いそうになった。





もうすぐ暑い夏がはじまる。


今年の夏は、なんだかいつもと違う気がするんだ。