葵ちゃんが小さい頃、スカートをずぶ濡れにして帰って来た時だ。



あの日、なぜか葵ちゃんはオレの顔を見て大声で泣き始めた。


オレは吠えたわけでもないのにどうしたんだろうって驚いた。





葵ちゃんがおばあちゃんと家の中に入った後、小さな男の子が俺の所へ来たんだ。


その男の子はオレが好きなクッキーをたくさん喰わせてくれた。

もういらないっていうくらいオレにクッキーを喰わせて泣きながら言ったんだ



『俺のかわりに葵を守って』




オレはその言葉の意味がわからなかった。





あの男の子は、バカ男だったんだ…。










そういえば今日も訳のわかんないこと言ってたな‥約束がどうとかって‥。



葵ちゃんがオレから離れた時にバカ男が言った言葉…なんだったっけ…


そうだ、こう言ってたんだ



『約束を守ってくれてありがとう。
これからは俺が葵を守るから』





約束ってあの時のことだったのか…。







オレはバカ男が嫌いだけど、葵ちゃんが幸せになるならバカ男のことを認めてやるよ。