「そろそろ後半の演奏が始まるよ」


柏木先輩が、空と私を呼びに来てくれた。



「陽一にいちゃん!」


「空、頑張ったな。今までの中で一番良かったぞ」



柏木先輩に褒められて、空はちょっと得意げな顔で笑った。


空の頭を撫でながら、柏木先輩が私に優しい言葉をかけてくれた。



「葵ちゃん、俺なんかじゃ何もできないけど、落ち込んだ時は遠慮しないで俺にも言って」





昔と変わらない爽やかな笑顔の柏木先輩。



いつも空と私を気にかけてくれてるんだ。





お礼を言おうとした時、空が私の手を握って言った。



「大丈夫だよ。おかあさんは僕が守るから!‥ね、おかあさん♪」






空の笑顔と小さな温もりが、


とても温かかった。




「空、ありがとう…」