「ここで、スペシャルゲストを紹介します」


スペシャルゲスト?

プログラムには書いてなかったけど…。



嶌田部長がステージ横に、にこっと笑顔を向け手を差し出した。




「僕の親友の息子、小川 空君です」




空!!??





小さな男の子が、少し照れくさそうにステージの上を歩いてる。


それは紛れもなく息子の空だった。




空は、客席にいる私ににんまりと笑って見せた。



「空‥!?どういうこと…?」


突然現れた空に驚いている私に柏木先輩が言った。


「黙っててごめんね…。実は、このこと俺知ってたんだ」


「柏木先輩…?」




柏木先輩の顔を見た後もう一度空を見ると、


空はトランペットを持っていた。




10歳の小さな空の手が持つ銀色のトランペット。



それは、遼ちゃんのトランペットだった…。





トランペットの凹みが、何年も前に見たものと同じだった。