冬の夜空は星が澄んで見えて好き。


私は白い息を吐きながら走る。



「遅くなってごめんね!」


親友の麻衣子と信汰が桜丘高校の門の前で待ってた。



「葵、もう始まっちゃうよ~」


麻衣子が私の腕を引っ張り、急いで学校の中へ入った。




今日は私たちが入学する予定の桜丘高校の定期演奏会。



麻衣子のお兄ちゃんがブラスバンド部に入ってるってことで、

幼なじみの三人で観に来た。




「うわっ、すごい人‥ 満席かよ」


会場の体育館に入るとすぐに男の人の頭があり、

思わず信汰が小声で叫んだ。



「お兄ちゃんが入部した年から2年連続大会で優勝してるからね」


お兄ちゃんのことが大好きな麻衣子が嬉しそうに話し、

信汰と『でた!』って目を合わせた。




ブラバンに入ってた二人は、今日の演奏会をずっと前から楽しみにしてた。


私は美術部に入ってたから、音楽のことはよくわからないけど‥。




そうこうしている間に幕が上がった。



残念ながら

幕が上がっても、知らないおじさんの頭しか観えないけど。