「はははっ」


「もう~、真面目に教えてよ!」



赤く脹れた私の顔を見て、遼ちゃんはさらに笑った。





遼ちゃんの笑った顔は、あの頃と同じだった。








何度かマウスピースを鳴らした後、楽器の持ち方や扱い方を教えてくれた。



そして最後に、


「楽しくやれば、それでいいんだ」


そう言って遼ちゃんは二年生の様子を見に行った。





私はその姿を見て、深く息を吐いた‥‥。



やっと実感してきた。


遼ちゃんが目の前にいること。


トランペットを手にしていること。