今のこの姿、思いを知ったら母や父はどれほど嘆くだろう。

 潜っても潜っても、底が見えない海のような深い罪悪感がある。けれど後悔はなかった。あれだけアズのことを非難していたのにも関わらず、自分もアズと同じことをしようとしている。関係ない、死ななくてもいい命を刈ろうとしている。けれど、リュウから聞いてしまった言葉に賭けてみたい、そう願っている。魂が戻れば、来世で共に笑いあうことができるかもしれない。そう考えたら、どれだけ罵声を浴びせられようと、侮蔑されようと、いっこうに構わなかった。自分のわがままだということも、十分に理解している。けれど、もう止まらなかった。

『わかった。ルーン王女の願いを叶える。けれどひとつだけ注意して。求める魂を探すのはルーン王女、あなただ。わたしはその手伝いをするにすぎない。もしかしたら永遠と見つからないかもしれない』

「でも、わたしの命だって……!」

 なくなってしまうのに。そう言おうとした刹那、声が遮った。

『ルーン王女。望む限り、あなたの命は万年樹と共に』

 ルーンは頷いて、静かに目を開けた。

 万年樹に拘束されていて気付かなかったが、激しい風が次々に木々を薙ぎ倒していく。自分の体の何倍、何十倍とある大木が、遊戯盤の上の駒のように軽々と倒れていく様子を見ていたルーンは、激しい吐き気を覚えた。今はまだ庭園に人の姿はないが、次第に王城をも襲うだろう。そうなったとき、今のルーンにはこれ以上とない懲罰だ。